ソープオペラ
愛憎相俟ってちょっと乱した語気に
はっと戸惑っているみたい
冗談めかして後れ髪弄る指
“奥底のこころを見せろよ”
愛憎相俟ったソープオペラのやうに
語調荒げて叫びたい
だって今更遠慮する事もなし
“腹括って罵り合おうぜ”
どんなにこんなに恋い慕っても言葉に出来ない
徐々に表情に表れる恥
求め合って猶憎み合うのか…
毒突いた聖女
寡黙なお前の先には薔薇の花びら落ちて
真っ白な肌に赤い花びらの映える
有り触れた午後の情事
いっそ我が身を華厳の滝へ投げて
死して思いを遂げようか
樫の木を前に名文も浮かばない
凡人に死ぬ価値もないぜ
どんなにこんなに追い求めても真理は“不可解”
徐々に妄想に落ちてゆく恥
正義も道徳も枷になるなら…
饒舌家、閉口
言葉を放棄した空には稲妻が閃いて
真っ暗な部屋で互いの熱が交わる
隠された夜の狂気
まるでソープオペラのやうに…